前回「床ずれはなぜおこる?!褥瘡(じょくそう)と床ずれの基本を知る」という記事をご紹介させていただきました。
床ずれは同一の箇所を圧迫し続けることによってできてしまいます。
そして、床ずれの形成を予防するには寝返りを打たせてあげる必要があります。
その寝返りの介助についてを、介護士やヘルパーの間では体位変換(たいいへんかん)と呼んでいます。
今回はその体位変換の方法や注意点を紹介していきましょう。
体位変換の際、準備するもの

・体位変換用のクッション
・クッション
・タオル など。
体位変換をするには専用のクッション、通称体交マクラと呼ばれるものが必要になります。
ただし高価なので、代用としてクッションやタオルを使用する施設も多いです。
クッションはあまり固すぎず柔らかすぎないものを使用する必要があります。もしわからなければ周囲にきいてみるといいでしょう。
体位変換の方法について

体位変換は1人もしくは2人で行います。
人員の数であったり利用者様の状態によって変化しますので、自分で動ける方や比較的に体重の軽い方である場合は、1人で対応します。
しかし病状が進行しているかたや、拘縮がしている要介護者、体重のある要介護者は2人体制で対応することがあります。
それでは、体位変換の介助方法を紹介していきましょう。
左右を向く形の体位変換の介助
今回ご紹介するのは左右を向く形です。側臥位(そくがい)と呼ばれます。
上向きで寝るような通称、仰臥位(ぎょうがい)で寝れない方は側臥位のみします。仰臥位で眠られない方の特徴として該当するのは
・甲骨や仙骨に床ずれがある
・関節の拘縮が進んでいる
・背中が丸くなっている
・舌の筋肉が弱くなってしまって上を向くと呼吸が難しくなる方
などです。
ポイント1

まず利用者様の左右どちらかに立ちます。
右に向いていただきたいのなら左に、反対なら右に立ちます。
そして声掛けをします。例えば「今から体の向きをかえさせていただきますね」などです。許可がもらえたら行います。
ポイント2
毛布などを取り払い、利用者様の体を腕を組んだり足を組んでもらったりして、なるべくコンパクトにしてもらいます。
できるだけ利用者様がベッドに触れる接地面を減らすためです。
接地面が減ると体を動かしやすいのと、皮膚が摩擦で怪我をしてしまうのを防ぐためです。
ポイント3.
肩の下と仙骨の下に手を入れます。
次が大変です。利用者様に「体が動きますね」といってから、体を分の方へ引き寄せつつベッドの上の方へ引き上げます。
可能ならマットレスも上にあげましょう。体の向きを変えるだけではなくて上に体を上に引き上げるのは、ひき上げた時に不快感をなくすためです。
ポイント4
次に反対側に立ち、自分の方へ利用者様の体が向くようにします。
この時は腸骨と肩を持つとスムーズにいきます。介助者の方へ向いてもらうのは、利用者様の顔がよくみえるからです。それに反対だと利用者は恐怖を感じてしまいます。
なのでヘルパー側に体位を向いてもらうようにしましょう。
ポイント5
衣服を伸ばしてから、変換枕を入れます。
利用者様の角度が30度が推奨とされていますが、利用者様の状態を見て判断していきましょう。
枕の入れ方は背中と、体と体が密着している部分に入れていきます。例えば膝などですね。拘縮の具合によっては腕にクッションを抱えていただいてもいいでしょう。
ポイント6
安楽な体勢を取っていただきます。
今の状態では体がまっすぐになったまま横になっている状態なので、とても苦しいです。想像してみてください。
自分の体がピーンと一直線になったまま、30度の角度になっているのを。つらい体勢です。
なので肩の下に手を入れて抜いて、肩にかかった圧を抜きます。
そのあとにお尻を少し後ろにします。そうすることによってより安楽な姿勢になります。
ポイント7
最後に利用者様に声掛けを行います。体位変換を行ったことによって、
・気分が悪くなっていないか?
・苦しいところはないか?
・不快感がある所はないか?
などを聞いて確認します。そうして、調整を行っていきます。
もし意思疎通を取るのが難しい場合は、ひとつひとつ丁寧にみていきます。
体位変換での注意点

体位変換をする前や、体に触れるとき、体が動くときなどは利用者様に声掛けをしましょう。
なにも言われずにただ無言で体を障られて動かされたりすると、私たちでもとても怖いですね。
利用者様もそれは同じことです。びっくりしてしまいます。
失礼にもあたることなので、しっかり声を掛けていきましょう。
シーツや衣服のシワに注意
シーツや衣服にシワがある場合は、すべて伸ばすようにしましょう。
シワのひとつでも高齢者の肌は弱く、床ずれができてしまうこともあります。
体位変換をしたときだけではありません。食事をした後や、おむつ交換をした後などにもきれいにピーンと張った状態にしておきましょう。
腕や足は曲がりすぎないように
あまりにも曲がりすぎたまま枕を入れてしまうのも注意が必要です。
そのまま拘縮して動かない可能性があります。予防のためにも、ある程度伸ばしてからクッションを入れましょう。
まとめ

体位変換の方法をご紹介させていただきました。
普段何気なくベットで眠れる私たちとは異なり、介護度の高い高齢者は動くのが億劫であったり難しいという理由から体位変換をする必要があります。
このやり方で利用者様に安心して安楽な体勢で生活していただけるように、スムースなケアを心がけてください。
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